少し前、スキージャンプの高梨沙羅さんについてのドキュメンタリー番組がありました。その中で踏切の感覚というか、技術について話しているシーンもあったのです。
詳しい会話の詳細は忘れてしまいましたが、大体下記のような内容でした。
「自分が調子が良いときには、ジャンプ台のカンテ直前の逆アーチに自分が自然と押しつけられて、そのからの反発する力を何も考えずに自然と利用できたけれど・・・」みたいな内容でした。
これって、ボウイングに共通すると感じました。
すなわち、自分を下手にコントロールせずに、自然な連続性(物理的に理にかなっている運動)を利用することが重要という感覚です。
ボウイングでも、真の意味での高性能な良い弓は、弓の毛を少ししか張らないので、弓竿に逆反りが残っています。だからボウイングをしたときに自然と、無意識に下向きのベクトル(吸い付く力)がかかるのです。
すなわち、高梨沙羅さんが「ジャンプ台に連続的に押しつけられる力を利用して」と言っているのと同じように、連続して弓が押しつけられる(吸い付く)感覚が得られるのです。
慣れない内は、弓に圧力をかける感じが強いのですが、慣れてくると弓が連続して吸い付くような感覚を感じることが出来るようになるのです。
pとかppのボウイング中に、この弓がグググッっと吸い付くような感覚(もちろんppだと小さい力ですが)を感じ取れたら、理想的なボウイングを行えている証拠です。pやppとは弓をコントロールして行うものではないのです。
これは感覚論ではなく、きちんと物理的に説明が出来る「理」にかなった運動です。
何度でも言いますが、演奏で重要なのは「理」であって、感覚論は二の次、三の次です。なぜなら、感覚論はあやふやだし、いくらでもごまかしもきくし、人によって言うこともバラバラですから。
関連記事:
- 音楽番組でウィーンリングアンサンブルの演奏
- 弓竿の反りと、理にかなったボイウイング運動の説明
- 弓がプルプル震えてしまう方は、ある意味、チャンスなのかも
- 腕の自然な重さをかけたボウイング
- 地面に立つとき