ふと、ドイツに住んでいたときのことを想い出しました。特に、渡独して直後、まだ私が独身で一人でドイツに住んでいたときの事です。

 カントゥーシャ工房に勤めていたときには、土日は完全に休みでした。土曜日には店が開いているので、まだやることはあるのですが、日曜日は、本当に暇で暇でしかたがないくらい何もやることが無いのです。もちろん、旅行に行ったり、スキーをしたりという事もありましたが、毎週はできません。

 あまりにも暇な週末には、ミッテンヴァルトの隣町のガルミッシュ・パルテンキルヒェン(ミッテンヴァルトよりも賑やかな避暑地の観光地)に行って、マクドナルドで食事をしたり、ベンチに座ってアイスを食べて時間を潰していたりしていたのです。

 季節の良い夏などは、そうしてベンチに座ってい時間は、とても気持ちが良くて、未だに忘れることが出来ないひとときでした。

 さてそのようにベンチに座っていると、バイエルンの革短パンを履いたタクシーの運転手(観光客相手という意味もあるかもしれませんが、宗教的な意味で特に日曜日とかに正装するのです)が、なんと2人だけで同僚(女性ドライバー)の駐車中だったタクシーを持ち上げて、数メートル先の段差の上まで移動させてしまっていました。

 同僚が戻ってきて自分のタクシーが無くて慌てているのを見て、その二人はゲラゲラ笑っていたのです。

 いくらゴッツいバイエルン人とはいえ、二人で車を持ち上げて移動させてしまったのにはびっくりしました。

 そういえば、ミュンヒェンで知り合ったピアニストも言っていました。「引っ越しの時、グランドピアノをドイツ人が2人だけで持ち上げて運んだ」と。

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