先日お客様と、「なぜドイツ製品がこんなに優れているのか?」という会話になりました。

 第二次世界大戦の敗戦国という似たような境遇の工業国だというのに、ドイツと日本の製品には若干違いがあるように感じます。

 あくまでも私の個人的な感想ですが、ドイツ製品の方がより専門に特化していると感じます。これは私の通っている歯医者さんも同じ感想をもっていました。すなわち、専門的に優れた製品なのです。安かろう悪かろうの物で大衆をごまかす風潮はなく、高性能を追求して専門家(またはマニア)を納得させることを当たり前とする風潮なのだと思います。

 自動車でもそうです。ドイツ車の方がより「車」を追求していると思います。カメラやレンズなどに関しても、より専門的な高品質を追求していると感じます。

 なぜこんなに優れた製品を作ることが出来るのか?

 もちろん、ドイツが19世紀の物理学、工学、医学、音楽などの最先端の国であったという歴史的なバックグラウンドもあるのかもしれませんが、私の想像ですが、私は国民性に答えがあると思います。

 日本人は、大きな物に巻かれて安心する民族だと思います。簡単に言ってしまえば、大企業指向です。だから、零細企業の名も知れぬメーカーの高性能製品よりも、大企業名が付いているOEM製品を好んで購入します。
 同様に、生産者側の小さな会社または工場も、大きな企業の下請けにて安定感を求めるのを普通としてきました。

 一方ドイツでは、ある分野において名の知れたメーカーでも、その本社はとても小さかったりするのです。すなわち、「会社は小さいけれど、製品は優秀」というメーカーだらけなのです。これは私がドイツに住んでいて、驚きを持って実感したことでした。マイスター制度などもその現れです。
 また、購入する側のドイツ人も、会社の大きさ(ネームバリュー)でなんか製品は選びません。純粋に、性能と、コストパフォーマンスで選びます(ドイツ人はケチなのでシビアです)。

 さらに素晴らしいと感じたのは、製品へのアフタケアが素晴らしい点でした。とても古い製品なのに、当たり前のように修理部品を揃えていたり、古いからと言って安易に買い換えを勧めるような対応をほとんど受けたことがありませんでした。

 ドイツの製品がなぜ優れているのかというと(もちろん一言で説明できるわけはないのですが)、専門的な会社ほど小さいからなのです。専門分野に特化しているからなのです。大企業ではないから、専門分野に特化できるのです。例えば、ピアノメーカーのシュタインウェイ社が、なぜ良いピアノを作り続けることが出来るのかというと、ピアノに拘っているからです。そんな超有名会社、ドイツではごく普通です。

 これは北イタリアの工業、デザインなどでにおいても全く同じです。

 
 私は何も日本批判をするためにこんな文章を書いているわけではありません。「良い物とは何か」という本質を説明したいだけなのです。または追求したいだけなのです。また、日本もそうであって欲しいと、切に思っているからです。

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