私は学生時代、オーディオに凝っていました。当時「高音質デジタル録音レコード」定番であったテラーク盤も愛聴盤でした。「テラーク盤」と言えば「チャイコフスキーの1812年の大砲」ですが、私は「サンサーンスのオルガン交響曲」の方をオーディオ再生チェック用(低音の忠実再生)としてよく聴いていました。

 時は流れ、仕事が忙しくなったり、また、CDが普及したことによって、さほど努力しなくてもそこそこの良い音が手に入れられるようになると、「オーディオ熱」も冷めてしまっていました。当時持っていた機材も、レコードも全て処分してしまいました。

 しかし、ずっと「良い音とは何か?」という自問自答を繰り返す内に、「当時、自分が良い音だと思っていたものが、何だったのか?」を再確認したくなったのです。単なる想い出なのか? それとも何かが実際にあったのか? それともその複合的なものなのか?

 そこに「遠足のおにぎり」を見つけることができるのか?

 そんなわけで、最近(ここ10年)、オーディオの再生にもちょっと拘りだしてきているのです。そして2年前くらいには、シュトライヒャーのコントラバスのレコードまで買い直していたのです。

 さて、本題です。
1. テラーク盤の録音は、現在聴き直しても「超高音質」か?
2. オリジナルのレコード版と、SACD再マスタリング版では、どちらが高音質か?

試聴音源
・テラーク盤レコード:サンサーンス オルガン交響曲 (オーマンディ&フィラデルフィア)1980年録音
・上記録音時のデジタルリマスタ-を利用して、後年再発売したSACD
・グラモフォンCD オルガン交響曲 (レヴァイン&ベルリンフィル 1986年録音)

再生機器
・ELPレーザーターンテーブル+Accuphase C-27
・Accuphase DP-720

聴き比べした感想
 最近はずっと「レヴァイン&ベルリンフィル 1986年録音」のオルガン交響曲を聴いていました。特に音質に拘って購入したのではなく、単にオルガン交響曲が聴きたくて購入したCDでした。しかし結果的にですが、かなりの高音質CDだと思います。このCDが基準となります。

 最初にテラークのSACDを再生してみました。当時のテラークのデジタル録音音源を最高の技術で再加工してSACD化しているはずなので、期待大です。
 しかし、悪くはないけれど、なにか瑞々しさを感じさせない、スッキリしない感じです。音質的には1986年のベルリンフィルの録音の方が圧倒的に高音質です。1980年と、1986年ではデジタル録音の技術に格段の進歩があった時代ですから、残酷なほどそれが判ってしまいます。おそらくSACD用の再マスタリングのときに、ノイズ処理とか何かをいじってしまったのだと思います。そこが不自然さを生んでいるのだと思います。
 結果として、テラーク盤のSACDにはそこまでの魅力というか「超高音質」感は感じませんでした。

 さて次に真打ちの「レコード」再生です。曲が始まる前の「ボソ、ボソ」という音! 「来たーっ!」って感じです。
 さてその音質は? ・・・基本的には、SACD版と同じです。レコード版の方がちょっとだけ明るさを感じるのですが、これは再生機器のキャラクターの違いとかノイズの出方の違いで、本質的な違いではありません。
 「オリジナルレコードの音は、やっぱり全然違って魅力的だった!」という感想になるかもしれないと、期待して再生したのですが、意外にもそんなことはありませんでした。

 自分自身の、あまりにもクールで冷淡なほどの判断(感想)に、ちょっと不安を感じているくらいです。「自分の感覚や感性が鈍っているのか?」と。

まとめ
・録音技術の進歩の差をかなり感じた。
・昔のデジタル録音は、下手に加工しないでそのままの状態で再生したほうが瑞々しさを感じます(それは我々が1984年に録音した学生オケのPCM録音の再生で実証済みです)。
・SACDと比べて、アナログレコードの方が特別に高音質ということはない。同じくらい。
・アナログレコードの「プチプチノイズ」の意味(魅力)を再確認できた。
・自分自身が懐古趣味に陥っていないことに、ほっとした。

 

補足です。今回は演奏内容に関しては、全く考慮していません。また、私の再生装置は「ピュアオーディオ」とは違います。あくまでも工房での高音質BGM再生装置程度ですので、ピュアオーディオ的なツッコミは無しで、お願いいたします。

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