最近アナログレコード再生に復帰して、「レコードの音ってなんて素晴らしいんだろう」と感心しています。

 アナログレコードの音がなぜ素晴らしいのか? それはレコード(ジャケットも)という存在感のある「物」と、再生するためのとても苦労する「手間」が、リアルな感覚を生み出すからだと思います。すなわち、アナログレコードの周波数特性とかの優劣の理由とかでは無いのです。

 これは山登りだとか、または茶道などに共通する要因を見つけることが出来ます。

 しかし、最近、理由はこれだけで無いことがわかりました。それは「録音の良さ」なのです。60~90年代の録音は素晴らしい物が多いのです。それは何かというと、「レコードが求められていた」からです。

 演奏家自体も、レコードを出す事が名誉でした。だからレコードを出す機会に恵まれた場合、気合いをいれた演奏と、また音響エンジニア達も腕を振るって作成したのです。だから当時の演奏は素晴らしいのです。
 また購入して聴く側も、きちんとしたオーディオ装置(当時はステレオって呼んでいました)で聴くのが普通でした。もちろんカッセットテープとか、ラジカセとかの簡易的なものもありましたが、「レコード」再生は、聴く側も本気だったっと思います。

 一方、最近の若い演奏家は、CDを出すくらいだったらYouTubeで人気を獲得した方が良いと思っている人も多いことでしょう。また、購入者側も、お金を払ってまでしてそこまでCDを買いたいと思わなくなってしまったのです。だから自然と、レベルが下がっているのです。音響エンジニアのレベルも確実に下がっています。音が薄っぺらなのです。

 まあ、それが時代の流れなのでしょう。もっとも、あと30年もしたら、今の時代を「当時は良かった」という時代が来るのだと思います。

 しかし、若い演奏家や音響エンジニア達に言いたいです。60~80年代くらいの演奏のレコードを聴いてみてください。本当に素晴らしいですから。

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