先日私は「楽器から出る音の要素には、『演奏』と『音響(音質)』があります 」という記事の中で、演奏者としてのオーディオについて書きました。しかし、あまり興味は持たれていないようです。

 おそらく私の単なる「オーディオ趣味」のついでに書いたものだと思われているのでしょう。

 しかし、私が言い切ります。「楽器演奏において、普段から良い音で音楽を聴くことがとても重要である」と。

 何も、数百万円をかけてオーディオ装置を揃えろとは言いません。オーディオ装置というものを意識して、ちょっとお金をかけて、音楽を聴いて欲しいのです。絶対に演奏に役立ちますから。

 例えば、あなたが「A演奏家による、CD」を持っていたとします。あなたは、そのCDを何度も聴いていますので、その演奏家の演奏(またはCDの音)の価値観をA’1と捉えているとします。すなわち、その時点ではAという演奏家=A’1なのです。

 しかし、あなたが奮発して、良いオーディオ装置を購入してそのCDを聴いたとします。おそらく、「今までの音とは全然違う!」って感動することでしょう。A’2になってのです。

      A=A’1≠A’2=A

 それはすなわち、「今まではその演奏家(またはCD)の事が見えていなかった」とも言えるのです。

 私が何が言いたいのかというと、「見えていないのに」知ったつもりになって人生の時間を費やしてしまうのは損ですよ、という事なのです。ちょっとした出費や、ちょっとした努力で、大きな価値観を手に入れる事が出来るからです。皆さんが既に行っている、「演奏の努力」に比べたら、些細なことで、おおきな価値観を手に入れられるという事を言いたいのです。

 私のお客様、または学生時代のオケ仲間で、「CD、レコード収集マニア(すなわち演奏家マニア)」はたくさんいますが、「音」にこだわっている方は意外と少ないものです。

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