先日、弓を購入してくださった演奏家の方から、「佐々木さんは演奏しないのに、なぜ良い弓が選べるのですか?」、みたいな質問がありました。

 それは、私がさまざまなところで何度も何度も書いていることですが、「演奏」と「道具」の事は別の話だからなのです。

 逆の事も言えて、私は演奏できないからこそ、客観的な判断が出来るとも言えます。具体的には、「木材の性能」、「製作の質(反りの具合とか重さとか)」、「状態」、「価格」などを、いかに客観的に、そして論理的に把握できているかです。

 それではその「論理性(理論)」はどこで教えてもらえるのか?というと、普段の自分自身の向上心であり、研究の実行からしか得ることはできません。張ったりだけでしたら、そんな手間とお金の掛かることをしなくても素人はだませますが。

 演奏家はどうしても主観的です。しかし我々技術者に必要なのは客観性なのです。

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