よく「良い楽器や弓をどうやって選ぶのか?」という会話になりますが、私は「信頼できる技術者を信じてください」と説明します。しかし残念ながらほとんどの方は、我々技術者よりも、実際に素敵な音を奏でる演奏家の事を信頼してしまいます。

 判らないでもないです。

 良い楽器や良い弓を選べる唯一の方法は、専門的な根拠のある客観性なのです。「嘘っ~?!」と思われるかも知れませんが、演奏家には持ち合わせていないのです。なぜならば、演奏家は演奏の専門的な勉強はしていても、楽器についての客観的で専門的な勉強はしていないからです。

 それでは演奏家が持ち合わせているものは何か?というと、「主観性」です(楽器に関しての事です)。

 例えば、「自分の身体の事は、自分が一番知っている」という事を言う人がいます。それが「主観性」だとします。それに対しての「客観性」が医者です。これは「感覚的」と「理論的」とも言えるかも知れません。

 さて、ここで問題です。「自分の身体の事は、自分が一番知っている」と言い切っている人が、本当の自分の身体の事を知っていると思いますか? 答えは、「半分は正しく」、「半分は間違い」です。自分の事を、自分が知りきっているとは、言えないのです。なぜならば、井戸の中の蛙は、井戸の外の事を想像することさえ、原理的に不可能だからなのです。

 さらに追加問題です。「自分の身体の事は、自分が一番知っている」と言い切っている人が、他人の身体の事が判りますか?

 さて、回りくどくなりましたが、私が言いたいのは、「身体の事で心配することがあれば、専門的な勉強をした医者に相談しましょう」という、ごくごく単純なことなのです。

 

関連記事: