私は「良い楽器の音」の事だとか、「高音質のオーディオの音」の話題を積極的に行っているつもりです。少しでも「良い音」に繋がって欲しいと思っているからです。
そして最近判ってきたことがあります。多くの方の意識が、旋律の音の方にのみ強く傾いていると言うことです。別の言い方をすれば、「音を聴かないで、曲を聴いている」と表現できるかもしれません。
以前にも書いた事がありますが、例えば音の悪い再生装置で音楽を聴いても、何の不都合も無く普通に聴けるのです。というか、その音が普通の音だと思い込んでいるのです。しかし実際にそこから聞こえているのは、旋律音、すなわち比較的高い周波数(音響的に言えば1~5KHzくらいの中周波数)が主で、比較的低い音や高域の音は聞こえていないのです。
例えばオケの生音で例えるのならば、1stヴァイオリンのメロディーばかり聴いていて、コントラバスの音とか、ヴィオラの音とかを全く聴いていないのに等しいです。
これと全く同じ事は、楽器単体にも言えるのです。良い楽器とは、弦の振動が作り出す比較的高い周波数の音階部分(倍音成分)と、楽器の胴体が響く余韻成分からなり立っています。ところが、普段から低音質の音で聞き慣れている人は、楽器の旋律部分だけを意識してしまって、余韻部分を感じられないのです。
だから私は、普段からコントラバスの音を意識して聴くことをお勧めしているのです(ただ、特にアマオケの場合だとコントラバスが音を濁してしまっていることも多いのです)。「オケ」の音は、楽器単体の仕組みの拡大版なのです。
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