未だに、「イタリアの楽器は音が明るくて鳴りが良い・・・」とか、「ドイツの楽器の楽器は鳴らない」とか、「日本の楽器なんて・・」とかを知ったかぶりで語る人が多いのに驚きます。

 音大生とか、若い演奏家とか、そういう人に限ってそういう事を信じ切っているのです。それは、付き合っている楽器店のレベルの問題なのです。または間違った音楽教育がなされているのでしょうか?

 冷静に、客観的に、科学的に考えてみてください。200~300年前の古い楽器の場合には別ですが、ここ100年以降に作られた最近の楽器(低価格の量産楽器は、話が別です)で、製作技術(ノウハウ)は一定地域に留まらずに、世界中に拡散しているのです。まして現代の製作の場合にはなおさらです。

 だから、楽器のキャラクターは製作者の個々のキャラクターであって、国とは関係ないのです。

 おそらく「ドイツの楽器は・・」と言っている人は、これまでに良いドイツの楽器との接点がなかっただけだと思います(それは楽器店の趣味とか営業方針でそうなりがちです)。また、現代の日本人製作の素晴らしい楽器だって、数多く存在します。先日にはカナダの製作者の素晴らしい楽器を調整したばかりです。

 先入観がある人には、本質は見えてきません。また偏見のある人に、縁も生まれません。

 楽器において、音楽において一番重要なのは、科学的客観性なのです。なぜなら、我々は宇宙の中に存在する物質なのですから。

 

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