ELPレーザーターンテーブル(master α型+Accuphase C-27)でアナログレコードを再生していて、最近確信に近いくらいの感想を得ました。
それは、今までのアナログレコードプレーヤーでは原理的に、レコードの正確な情報を得てはいなかったのだという事です。こんな事を言うと、全世界に多く存在するアナログレコード信者達から叩かれるのは覚悟の上での、私の感想です。
その理由は、ELPレーザーターンテーブルで再生した音と、CDプレーヤーで再生した音が、とても似ているものが多く存在するという事実なのです。
オーディオに詳しくない方は、「同じ録音だったら、当然同じ音でしょう?」と、逆に私の主張を不思議に思うかも知れません。ところが、一般的にはアナログレコードの音の方が柔らかくて、品があるというふうに捉えられています。私も、そう感じていました。CDの音は、「CD臭さ」を感じていたのです。
ところがELPレーザーターンテーブルを使うようになってから、意外なほど多くの録音で、「後に再販されたCD版ととても似ている」というような録音に出会うようになりました。ちなみに左写真の「クレモナの栄光」のELPレーザーターンテーブルで再生したレコードと、後年発売されたCD(Accuphase DP720で再生)も、驚くほど音が似ています。
本当なら、せっかく高価なお金を払って購入したELPレーザーターンテーブルなのですから、「さすがELPレーザーターンテーブルで再生したレコードは、CDよりも情報量が多くて最高!!!」と、言いたいところです。しかし、客観的に「CDとほぼ同じ」と言えるような物が意外と多いのです。
一方、ELPレーザーターンテーブルと、通常のアナログレコードプレーヤーとでは音の質が違います(私のこれまでの経験の記憶によるものも多いですが)。これはアナログカートリッジ(レコード針)の物理的剛性と質量が起因する、原理が影響する差なのだと思います。
その証拠に、カートリッジは数多く存在します。そして高価なカートリッジが、「我こそが理想的な・・・」と主張しています。もちろんそれぞれで音も違います。本来ならば、確信を食ったものであれば、そんなに種類が多く存在するはずがないのです。大体、細い棒の振動を伝えるという原理自体が、既に「理想」からずれてしまっているわけです。
もっとも、全てのカートリッジで音が違ったり、再生するセッティングによって音が違ったりするというのが、趣味としての醍醐味ではあります。だから、それらを否定するわけではありません。
また、ELPレーザーターンテーブルが完璧だと言っているのでもありません。
私が言いたいのは、「CDの音がアナログレコードよりも原理的に劣っているということはない」という事です。
オーディオを客観的に観察できない人間が、ヴァイオリンを冷静に観察できるわけがないのです。
追記:「CDの音は悪くない」というのだったら、わざわざELPレーザーターンテーブルの意味があるの? と思われる方いらっしゃるかもしれませんが、それは大いにあります。レコードでしか残っていない録音が存在したり、またはレコードから当時の雰囲気伝わってくる魅力(ジャケットとかの要因も含め)があるからです。それはどうしてもCDからは出ません。もちろん、オリジナルがCDの場合には、そのオリジナルのCDがベストだと思います。
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