昨日、私の工房のお客様の先生の、教室の発表会があったので聴きに行ってきました。

 先生の楽器も、何人かの生徒さんの楽器も私の工房にて調整している楽器(私の工房にてお売りした楽器もあります)なので、工房内にて自分で感じている音と、実際の小ホールで聞こえる音との違いも分析したかったのです。もちろん、お客様がどんな演奏をするのかという楽しみもあって聴きに行きました。

 その小ホールは、音響専門ホールというよりは、よく見かける多目的小ホールでした。従って、ホールの反響板がほとんど無いのです(もちろん普通の部屋で演奏するよりは大きな響きがあります)。

 アマチュアの発表会ではこの手の多目的小ホールで演奏する機会はとても多いので、私もこれまでに数多くの、その手の多目的ホールで「聴く」経験をしてきたつもりでした。

 しかし、今回はありがたいことに、続けて多くの私の工房で調整(販売も)した楽器の音を聴いて、そして感じる事が出来たのです。これはなかなか貴重な経験でした。

 さて、演奏に関しては、お世辞抜きで皆さん素晴らしかったです。もちろん先生のご指導が素晴らしいからなのですが、私のお勧めした「弓」の効果も確実に現れていると確信しました。

 音に関しては、舞台に反響板が無いので、低音側が抜けてしまうのです。多くの方は反響板は主に高倍音を反射(反響)させるための板だと思われていますが、実は高倍音はダイレクトに届くのです(特に小ホールでは)。しかし、低音が抜けてしまうのです。

 だから今回のように、反響板がないようなホールでは、良い楽器の場合には楽器の豊かさを感じる事ができるのですが、性能が下がるとどうしてもキンキンしただけの音になりがちなのです。もちろん、楽器のキャラクターとかの差もありますが。

 感じたのは、「ホールも楽器の一部」ってことです。普段からホールで弾き慣れることも上達の近道かもしれません。そういった意味で、こういう発表会の場はとても貴重なのです。

 

追記:今回、「耳を大きくする集音器」を持っていきました。普通の演奏会では恥ずかしくて、一度も実際の演奏会では試したことがなかったのです。今回のような発表会では、誰も笑う人はいません(たぶん)。しかし、試聴して即、「ダメ~!」でした。音がペラペラの音になってしまい、使い物になりません。

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