おそらくほとんどのチェロ奏者は、チェロのエンドピンの舞台(床)への「直刺し」演奏が、ベストの音だと思っていると思います。最近まで私もそう思っていました。

 ところが数年前に”Zauberplatte”を考案して、音響的な事を試していると、チェロのエンドピン「直刺し」の音が、刺す位置によって意外とバラツキがあるという事に気づいたのです。

 その音響的なバラツキが生じる理由を考えてみました。

床の強度
 床の強度は均一であるという思い込みがありますが、実は細かく見ると部分部分で構造的な違いがあったり、材料の強度的な違いがあります。だから刺す位置が2cm違っただけで音が変わることもあるのです。
 舞台の床材も、考えてみたらチェロのエンドピンを刺すためにベストな強度ではないのです。若干柔らかいと思います。だからエンドピン先の動きが熱変換(木材を変形させる運動エネルギー損失の方かもしれません)されてしまうのです。

刺す方法
 「直刺し」には2タイプがあります。一つは、床にエンドピンをグサッと、まるで杭を打ち込むように突き刺してから、演奏する方法です(舞台関係者からは嫌われるやり方です)。
 もう一つは、床に既に空いている小さな穴を見つけて、そこにエンドピンの先を引っかけるタイプです。私の見た限りでは、こちらの直刺しタイプの方が多いように感じます。楽器への衝撃も少ないし、舞台を痛めません。ところが、穴の大きさとかによって、エンドピン先の抵抗(微妙な刺さり具合)が全て異なるのです。

 すなわち、「直刺し」とは床の強度や、穴の具合の組み合わせ具合によってまちまちなのです。だから音の差が出てしまうと考えられます。

 ”Zauberpltte”の場合には、これが平均化されるのです。だから「安定した良い音」が出るのです。我ながら凄い製品だと思います。ほんと。

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