ドイツのカントゥーシャ工房にいたころ(1990年代前半)、土曜日の休みの日になるとミュンヒェンの道具屋だとか、文房具店に買い物に行ったりしました。製図用品を買ったり、情報収集したりしていたのです。
そんなとき、美術用品売り場の図書コーナーでよく目にしたのが、空山基氏によるエアブラシ作品集でした。特にセクシーロボットの作品が印象的でした(おそらく皆さんも目にしたことのある作品だと思います)。当時は現代当たり前の高精細CGなんて無い時代でしたから、エアブラシを使ったグラデーション表現とか、鏡のような表現が衝撃的でした。さらに、ドイツで見る日本人の著名人の名前に誇りも感じました。
私は製図関連用品とか、道具製作に活用するための部品を探していたので、エアブラシについてはその作品集を立ち読みする程度の事ではありましたが、興味はずっと持っていたのです。
その当時からニスの修理に応用する、あるアイデアを持っていました。それはエアブラシの吹き付ける粒をコントロールすることで、ニスの透明度をコントロールするというアイデアでした。しかし、同時に「ヴァイオリン系のニスでは無理だろうな」とも思っていました。
先日、エアブラシを購入して、28年越しに実験してみました。まだ結論を出す技術には達していませんが、「やっぱり無理そう」です。
ただ、実際に試してみてようやく胸のつっかえが取れた気がします。
コンピューターによるCGが当たり前になった現在、車やバイクのアートペインティング用にさえもパソコンで印刷されたシール方式が用いられるようになってしまいました。
当時最先端技法だった「エアブラシ」は、今や自作フィギュアの塗装用になってしまっている感じです。時代の流れを感じます。
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