自分の演奏技術や、知識に自信がある人は、「自分の好みの音色」に対して、相当な自信を持っているようです。

 しかし、「音色」って、何ですか? 「好み」って、何ですか?

 その根拠はありますでしょうか? 自分の人生の長年にわたって不変ですか?

 ほとんどの方は、その時その時の、思い込みでしかないのです。すなわち、絶対的な判断基準では無くて、相対的(その時その時の思い込み)判断基準の上での「好み」なのです。本当に重要なのは、表面的な「音色」ではなくて楽器の総合性能です。

 事実、実際に(物理的根拠の意味で)性能の良い弓を見せて、その根拠をきちんと説明し、そしてその効果が歴然を変わったのを実感すると、殆どの方は、ご自分のそれまでの価値観をガラリと変えてしまうのです。価値かなんて、その程度のものでしかないと言い切れます。

 これはオーディオを使った「仮想弦楽器界の考察」でも全く同じ事が言えます。自分の世界観の中だけで、「音質」だとか「好み」を語ってしまうのです。これは「井の中の蛙」と同じです。

 だから、意識を「自分の外」へ常に向けることが重要です。「自分で、昨日の自分を否定できる勇気」とも言えます。プライドが高い人は、それができないのです。

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