先日、あるチェロの初級者の方(これまでは別の楽器を弾いていたそうです)が弓を購入してくださいました。
 その方、一年くらい前にチェロと弓を購入したばかりだったそうなのです。しかし、弓の性能に不満を感じるようになり、私の工房を訪ねてくださったのです。

 私がその一年前に購入した弓をチェックしたところ、けっして悪い弓ではありませんでした。価格相応のきちんとした弓でした。

 すなわち、最初に購入した性能が低すぎたのです。

 そのくらい、たった一年間だけでも、(人によっては)大きく上達するものなのです。初期におけるご自分の上達の早さを見くびってはいけません。上達度合いは初期ほど高いのです。

 

 たまたま連続して、別のチェロの初級者の方が楽器と弓の購入のことで(先生の紹介で)相談にいらっしゃいました。

 そこで私は、「最初から良い物を購入すべき」という事と、それにともなって「予算は、現在ご自身が今考えているよりも多く」という事を説明しました。

 相手が望んでいる予算の商品を販売するという経営方針も一理あるかもしれませんが、私は、結果的に損しないようなクオリティの物を最初から購入する事をお勧めします。「良い道具」は、結果的に貴重な人生の時間の節約にもなるからです。

 考え方は楽器店によって様々です。ご自分で、納得できる楽器店を選び、末永くお付き合いすることが何よりも大切です。

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