私は学生時代、バシュメットのヴィオラ演奏が一番好きでした。軽やかで、テクニシャンで、まるでヴィオラとは思えないようなヴィオラ演奏に引き込まれました。
ところが、この仕事をするようになって、様々なヴィオラの音を追求するようになってから、バシュメットの「ヴィオラの音はちょっと軽すぎるような・・・」って思うようになって、あまり聴かなくってしまいました。
ところが工房にいらしたお客様と「ヴィオラの音」の話になって、その話の流から「ちなみにバシュメットの音は・・・」ってなって、バシュメットの初期レコード(ソ連盤)を久しぶりに聴いてみました。
久しぶりに聴いたバシュメットのヴィオラの演奏は、さすがとしか言いようがありませんでした。楽器の音はちょっと軽めではありますが、しっかりと胴体を鳴らされていて、ボケた感じや擦れた感じがまったくありません(後のバシュメットの音よりも、この初期の音の方が、私は好きです)。
そのお客様も同意してくださりましたが、ヴィオラの音を再生するのってとても難しいと思います。逆の事も言えて、いい加減な再生装置でヴィオラの演奏を再生して、ヴィオラの音が籠もったような音だと思い込んでいる人が、どれほど多いことか・・・って。
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