古くから「レコード針によるLPレコード盤面の損傷」についての議論はありました。

「レコードをかける事によって、確実にLPレコードは傷つく」とか、「いや、SP盤と違って、LP盤は正しい扱いさえしていれば、実用的にはそう簡単には傷まない」、等々。

 私も学生の頃からずっと気になっていました。そこで少し前に、実際にLPレコード盤を顕微鏡で拡大観察してみたところ、盤面の針による損傷を確認することが出来ました。

 SP盤と比べて傷みにくいと言われている、LPレコード盤でさえも、レコード針によって損傷するのです。ただし、その傷の具合を観察すると、「間違った調整の針が盤面を傷つけた」ということが判りました。

 下のイラストは誇張して表現した図ですが、おそらくレコード針が盤面を傷つける仕組みは、このようなレコード針の間違ったセッティングが原因の一つと想像できます。正しい針のセッティングでは、針圧が溝面に分散されているのに対して、右図の間違った針のセッティングでは、針圧がピンポイントで一部分にかかってしまっています。これではいくら丈夫なLP盤面であったとしても、傷ついて(彫れてしまって)当然です。

 

 

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