ヴォルフ音が酷いチェロにおいて、そのヴォルフ音の音を出す方法には、主に次の2種類が存在します。
1.逃げる(掠らせる)奏法
ヴォルフ音とは簡単に言うならば、本当に発音したい音程を、楽器の方が拒絶する状態です。若干ずれた共鳴ポイントの方が大きく発音してしまって、弓の摩擦力が途切れてしまうのです。
こうした「楽器が発音を拒絶した状態」の場合、あえて掠れた音を出して、ぼかす奏法をすることで、ヴォルフ音との真っ向対決をそらすのです。私の観察する限り、ほとんどの方は酷いヴォルフ音をこうした奏法で乗り切っています(諦めていると言った方がただしいかもしれません)。
2.ヴォルフ音を強制的に押さえ込む奏法
弓の性能が高いという条件でのみ可能な奏法になりますが、発音を拒絶した状態の楽器を、弓の圧力で”丁寧に”押さえ込んで、目的の音をだすという奏法です。
この時に、楽器は弓の圧力に対して、逃げようとします。ところが”Zauberplatte”を使うことで、楽器のブレ(逃げ)が少なくなるので、効果的にヴォルフ音を発音することができるようになるのです。
この効果は、”Zauberplatte”の設計時から予想していた効果です。そのくらい「原理」を考えて作り上げたエンドピンストッパーなのです。
関連記事:
- ヴォルフ音は、なぜハイポジションの方が酷く出るのか
- 迷惑メールフィルタ
- デュ・プレのこの2枚のレコードは、ペアとして聴くと良いかも
- カントゥーシャ作のチェロの音
- 私がこの業界に入ったばかりの頃は、今以上に非科学的だった