私はこれまでに工房にいらした多くのお客様に、「オーディオの音」について話を振ったり、実際の音を聴かせたりしてきました。

 それで感じるのは、オーディオ装置に興味を持たれていない多くの方が「低音」を誤解している事なのです。「低音」にうるさいとか、耳障りとかのイメージをもっているみたいなのです。

 私の推測ですが、おそらく家電量販店など展示されている安物のオーディオ装置から流れている「ドンシャリ音」のBGMのイメージだとか、または大音量でバカみたいな品の無いビート音を出している車から出ている「低音」をイメージしてしまっているのではないでしょうか? またはクラブハウス(ディスコ)とかの品の無い音質の大音量とか。

 あれって、低音ではなくて「ドンシャリ音」、「刺激音」です。

 真の超低音とは、例えばホールの中の空気が揺らぐ音とか、「自然」なのです。決してうるさい音ではありません。

 例えばコントラバスの音を聴いて、美しいとは感じても、うるさいとは感じませんよね? パイプオルガンの音も、迫力に圧倒されることはあっても、耳障りではありません。

 ようするに、質の高いオーディオの「低音」とは、下品で単調な「ドンシャリなビート音」とは違うのです。なにも、音楽ジャンルの事をいっているのではありません。音質の事を言っています。その証拠に、YMOのレコードも、高音質で聴くと五月蠅くないどころか、電子音なのに品を感じます。

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