「弓は傾けて、弓毛の面の隅で弾くのが正しい弾き方」と、勘違いをしている方がとても多いのです。中には、「毛1本だけで弾くような、高度な演奏」みたいな事を言う人もいます。

 そういう弾き方を意識して行っているのか、または無意識で行っているのかは別として、馬毛の切れ具合を観察したら、どのようなボウイングを行っているのかは簡単に想像できます。

 弓毛は、基本的には「全面」を弦に接触させて摩擦力を有無のがボウイングの基本です。それは ff はもちろん、ppでも同様です。

 それならば「弓を少しだけ傾けて・・・」と指導されるのは、なぜか?

 それは、弓毛の平面の全面を同時に弦に接触(接地?)させると雑音が出るので、僅かに斜めに当てて、弓毛を徐々に(一瞬の話ですが)当てることで接触雑音を減らすための技法なのです。

 それではなぜ、弓毛の片側(隅)だけで弾いている人がこれほどまでに多いのかというと、弓の性能が明らかに低いために(残念ながら本人はそれが高性能と思い込んでいるのです)、弓を浮かせて、コントロールすることこそが高度な演奏技術と思い込んでいるからなのです。中には、「弓毛を斜めに当てることで、車のサスペンションのように弓のブレを吸収する」なんて無茶苦茶な事を言う人さえいます。

 この業界、非科学的な多くの「都市伝説(情報?)」ばかりです。私は30年以上も、その説明を繰り返していますが、残念ながら反感を買うばかりです。なぜそうなのか、最近になって判ってきました。それは多くの方が求めているのは、自分の考えを変えてまで本質を追求するよりも、心地よい自己肯定を求めているからなのでしょう。最近、もう説明するのも疲れてきました。

 

補足:スルタストのように、意図的に弓を浮かせる技法として、弓毛の隅だけをつかうという奏法は存在します。

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