私がヴァイオリン製作において一番重要だと思っているものは、「製作精度」です。すなわち「技術精度」です。よく、感覚だとか芸術性だとかをアピールする製作者もいますが(だいたはテレビ番組中で)、そんなのは怪しいです。

 例えば精密機械工場とかで「感覚的に・・」とかなんて言いませんよね?

 製作において重要なのは、良い素材を確保できているのか? 1mmの物を1mmに作れるのか? 設計通りの正しい曲面を作れるのか? 自分の製作行動は当初の予定通りだったのか? です。これは機械工場のそれと全く同じです。芸術論など入り込む余地はないのです。

 一方調整の場合にはちょっと話は変わってきます。

 調整とは、ゼロから自分が一を作り出す行為では無く、既にある現物を操作する行為だからです。

 そのために重要になってくるのが、楽器の音が出る仕組みの「モデル化のイマジネーション力」なのです。それが科学的根拠のある「モデル化」であることが理想なのですが、現実の話はとても複雑なので、多くの部分がブラックボックのモジュールをつなぎ合わせる行為であることも多いです。しかしいずれにせよ、モデル化の思考力こそが重要だと考えています。

 もちろん、それを的確に実行できる技術力を供えていると言うことも当然重要な事です。

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