よく、「***製作者の弓はどうですか?」とか訊かれることが多いのですが、同じ製作者の同じランクの弓でも、性能は全く違うのです(まして国だけによる明確な性能差なんてあるわけがありません)。弓の性能は「誰が製作したか?」ももちろん重要ではあるのですが、それ以上に重要なのは「誰が(どのような適格な根拠をもって)仕入れたか?」なのです。

 私が「良い弓ありますよ」と自信を持って言えるのは、その「根拠」を説明できることです。例えば先日仕入れた弓でも、前回業者が持ってきたときには私が納得できる弓は0本でしたし、今回も一本だけでした。そのくらい、性能の良い弓ってどこにでも転がっているものではないのです。

 そして何より重要なのは、そのような根拠の元で、理にかなった性能の道具(弓)で、理にかなった運動(演奏)を行うと、確実に音の劇的な変化が生まれるということなのです。感覚的なものではなく、実際の変化が生まれます。多くの方は、ご自分のその変化に驚きますよ。

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