時々、取材とか会話の中で「寸分の失敗も許されない、凄い技術ですね」みたいな事を言われることがあります。半分はその通りなのですが、半分は間違っています。
本当の技術力というのは失敗しないことではないのです。「小さな失敗を修正する能力」なのです。その延長として、「大きな失敗をしない能力」でもあるのです。
一見、真っ直ぐに引かれた直線でも、拡大してみると蛇行しているのと同じです。常に「修正」、「修正」しながら線を引いているわけです。
最近、小さな失敗にたいして揚げ足を取るような風潮があります。自分ではしないくせに(できないくせに)文句ばかり言う人が増えているのです。そのなかでも酷いのがいわゆる、クレーマーです。そのような風潮の中では、企業も、我々零細技術者も些細な失敗さえも許されないのです。ところが小さな失敗を怯えていては、真の意味での技術を追求できません。保身(技術を追求しない)に走ってしまうか、または隠蔽に走ってしまうかのどちらかになってしまいます。
若い皆さん、失敗を恐れてはいけません。それどころか、(小さな)失敗はお金を払ってでも経験すべき事なのです。