先日、二人たて続けに「製作者希望」という方への説明(面接ではありません)をしました。当時の私も含めて、ほとんど全ての人がそう考えているのですが、弟子入り修業で「ヴァイオリン製作を学びたい」と熱望しているのです。
もちろん「ヴァイオリン製作」が目標である事には間違いありません。しかし、本当の事を言うと、弟子入りして学ぶべきものは「ヴァイオリン製作」ではないのです。それでは何かと言うと、「ヴァイオリン製作以外の物全て」です。すなわち「基礎」なのです。
「ヴァイオリン製作」という事だけなら、1~2年間でも教わる事ができるでしょう。アマチュアにだって製作できるものなのです。お楽しみ工作レベルのものだったら、誰にだってできる事なのです。
ところが本当の修業というのは、「製作」以外のところにあります。だから修得するのに時間もお金も、忍耐力も必要となってくるのです。
「なんでこんな事をやらなくてはいけないの?」・・・、それこそが必要な事なのです。
ニス磨き作業の時に、私の師匠からこう教わりました。「磨きやすいところは知らないうちに磨けているものだから、意識して磨きにくい所に手を出しなさい」