お客さまから、全音高いピッチでの調弦(変調チューニングと言うのか)の要望がありました。
 その方は通常のエヴァピラッツィ弦でピッチを上げて使っていましたが、さすがにそれでは楽器に負担がありすぎます。また、弦の張力が強すぎて演奏もしにくいはずです。そこで弱い張力の弦を利用する事にしました(私のホームページに掲載している「弦の張力データ」が役に立ちました)。ドミナントのweich(ヴァイヒ、柔)弦です。これならば楽器への負担は最小ですみますし、さらに発音も厳しくないので演奏もしやすいと思います。

 ちなみに「全音=約1.122倍」ですから、弦の張力はその比率の2乗だけ上がります。 すると計算上では、ドミナントweichのA弦で全音高い調弦を行うと、エヴァピラッツィのAを通常の調弦したのとほぼ同じ張力となる事がわかりました。感覚的にも、そんな感じです。

 ちなみに、全音高いチューニングを行う事で悪魔の様な異様な雰囲気を出すのだそうですが、ドミナントのweichを高ピッチで張ってしまうと、楽器には負担は無いのですが、音が素直すぎて「異様な雰囲気」は少なくなってしまいます。しかし、楽器のためにはそれで良いと思うのです。

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