私は弦楽器関連の様々な技術的な事を考察したり、そして結果をお客様に説明したりしています。これは他の技術者も同じです。
しかし私が自信を持って言い切れるのは、「私は無責任に、口先だけで語ってはいません」という事です。
例えばケースの性能について語るときにも、私はとても高価なサーモグラフィ測定器を実際に購入して、実験して、そしてまず最初に自分自身が納得した上で、最後にお客様に説明します。
または駒の振動だとか弦の振動だとかを実際に目で確認するためにスーパースローモーションカメラを導入したり、松ヤニの粒子や弦の劣化状態を観察するためにマイクロスコープを導入したり。FFTアラナイザーや微圧力計測器、赤外線カメラや紫外線カメラ、工業用内視鏡なども。
私の身の回りでこんな事を実際に行っている技術者はほとんどいません。なぜならお金と時間がかかるだけで、実際の収入には結びつかないからです。
それではなぜ私がこんな事を行っているのか?と言うと、半分は、自分自身が「本当の事を知りたい」ため。そしてもう半分は、知りもしないくせに知ったかぶりをしてペラペラと説明するような自分自身にならないためです。
そういう努力をしていますので、少しだけ、私の言葉を信用していただけたら、と、思うのです。
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