私は「良い楽器」の要素について、これまでに様々な方法や言葉で説明してきたつもりです。しかし、残念ながら、そう簡単に理解してもらえるような内容ではありません。それどことか、言葉や理論だけで伝えることは不可能と言い切ってもよいでしょう。
それではどうやって「良い楽器」について勉強するのか?それはインターネットや書籍などから頭でっかちの(それどころか的外れの情報がいかに多いことか)知識を収集するのではなく、実際に脚を使って信頼できる技術者(または楽器店)の所へ出向いて質問をしたり、実際の楽器の説明を受けることこそが重要なのです。
「人と人との実際の対話」の中には、ものすごい膨大な量の情報(体感も含め)が含まれるからです。「百聞は一見にしかず」なのです。
自分で勝手な判断や処置を行わず、技術者の元で相談してください。一見面倒に思うかもしれませんが、それは最終的に自分の「得」や「財産」につながります。
話はちょっととびますが、現在私の工房にカントゥーシャ作の素晴らしい楽器があります。工房に調整にいらっしゃるお客様に時々見せているのですが、皆さん「こんなのは初めてだ!」と、とても驚きます。本当の「良い楽器」とは、多くの方がご自分の価値観の中で想像している「良い楽器」とは違う物なのです。その価値観(世界観)のさらに向こうにあるものなのです。
インターネットで楽器の情報を調べているようではダメです。「実際に脚を使って訪ね」、「人と人との会話をして」、「客観的かつ理論的・技術的な事を教えてもらい」、「実際に楽器を手で持ち感触を感じて」、「そして実際に試奏して音を出し」、そして「最終的にもう一度冷静な説明を聞き」、体験するのです。
「良い体験」をする上で一番大切なことは、「勇気」と「礼儀」そして「聞く耳」です。
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最後に蛇足になりますが、通販なんかで楽器関連の物を買っては「損」をしますよ。あれからは「商品」しか得られません。本当に求めるべきものは、そして貴重なのは(お金に換算して高いのは)「技術」であり「信頼関係」なのです。それは直接人と対話できる楽器店なり工房で購入してはじめて得られるものだからです。
通販を全否定するわけではありません。しかし、こと弦楽器関連においては、通販で簡単に済ませられるほど簡単な世界ではないと、私はお伝えしたいです。
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