楽器の音の調整をする上で、その半分くらいの重要性を締めるのが、「音以外の寸法的調整」です(追記:それ以前に弓の性能が大前提です)。例えば指板の反り、駒の高さ等、弾きやすさに大きく関わる基本部分なのです。
その基本を整えた上で、部品の加工だとか、弦の選択、魂柱の調整などを行っていきます。
そして最後の最後が、「肩当て」の調整なのです。
肩当ての改造、修正で最終的な音はけっこう違ってきます。だから楽器に合わせて肩当ての微妙な部分を修正したり、調整したりするのです。ある意味、魂柱の音響効果と似た部分があります。
だからお客様には、「この肩当ては、この位置に、このような装着方法で使用してください」と説明するのですが、次に来たときに脚の高さとか、幅だとかをけっこう変えられてしまっていることも多いのです。まあ、それ以上は私が強制して言う事ではないのですが・・。
いずれにせよ、肩当ての改造加工や調整だけでも、高度な音響理論や技術力を必要とするものなのです。今日も、肩当ての改造加工と調整だけで(2本同時にですが)丸一日費やしたくらいです。そのくらい音にとっても重要なのです。
補足:肩当ての効果だけで、楽器の音を劇的に向上させる「魔法の効果」はありません。ある音域を出そうと操作すると、別の音域が出なくなったり、「駆け引き」みたいな感じです。だから音の悪い楽器にいくら肩当てだけ調整して装着しても意味がありませんし、肩当て以前の調整無しに肩当てだけを取っ替え引っ替え試しても大した意味はありません。
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