現在、あるチェロの全調整を行っていて、ほぼ完了したところです。
チェロに限らず、殆どのお客様は、調整完了した楽器を受け取って、音の変化を喜んでくださります。もちろん、私としても音を良くするのが目的なので、そのように音の変化を喜んでくださるのは嬉しいことです。
しかし、本当の技術の差は、「弾きやすさ」の部分なのです。これは基本調整の部分で、ある意味、技術者の技術力をそのまま反映する部分とも言えるのです。ごまかしがきかない部分なのです。
このような基本調整、すなわち寸法的な調整(楽器の構造理論の理解力も含めて)が高度に行われている楽器は、とても弾きやすいです。弦も力をそれほど必要とせずに押さえることが出来ますし、弓の移弦もスムーズにできます。
その部分がまともに出来ている調整って、2割くらいでしょうか? 2割も無いかもしれません。
技術者側としても、音に関してのうんちくを雄弁に語る方が格好いいのですが、実は本当に重要なのは「音以前の部分」のとても地味な調整なのです。
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