先日、私の工房でヴァイオリンの弓を購入してくださった方が、興味深い話をしてくださりました。
この方はとてもお上手な方で、かなり高度な基本的レッスン(音階の練習とか)を受けているそうです。
私の工房での弓の試奏のときに、「圧力をかけて弾く意味と実際の奏法、それに伴う効果」の意味を理解してから、それを意識しながらレッスンを受けたところ、先生から「今日は音程が良くなった」とのお褒めを頂いたとか。
それで、「良い弓と音程の関係性はあるのでしょうか?」との質問を受けたのです。
私の想像としては、次の仕組みと思われます。
1.音階とは何なのか?
2.弦楽器における音階とはピアノの鍵盤のように、最初から物理位置的に配置されているものではなくて、弦(楽器)の振動によって生み出される、「まさに音階の原理」的なものなのです。
3.すなわち、楽器が朗々と鳴ることで、初めて見えてくるのです。
4.弓の性能が良くなって、圧力をかけて楽器を鳴らすことが出来るようになると、無意識の内に、指板上に音階の凹みみたいなものが見えてきます(視覚的な凹みではなくて、響き的なツボとして)。そこに指が無意識にはまることで、正しい音程が生まれます。
5.さらに、圧力をかけた、いわゆる「縦方向の演奏」をすることで、音が擦れていない真のある音になります。これで音程の真がさらにはっきりするのです。
・・・と、「こんな感じではないでしょうか?」 と説明してみました。
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