私は「本当の弓や楽器の性能とは、そういうのではないのです」と説明します。

 プロの演奏者も含めて、多くの方が間違った情報だとか価値観を信じ込んでいるのです。その「間違った」とは、物理的な「理」に関してなのです。

 初級者用の安い楽器や弓で「理にかなっていない」というのでしたらわかりますが、高価な楽器や弓に限ってそうなのです。さらに上手な人ほどそうだったりするのです。私が「もったいない」というのは、金銭的な事よりも、「ご本人の才能だとか、時間の無駄遣い」に対しでです。

 しかしそういう私の指摘に対して、「自分が満足できていれば、それで良いのでは?」と言う方もとても多いのです。

 もちろん、本当に満足できているのでしたら、私は何も言いません。

 しかし、満足できていないから、または何らかの引っかかる点があるから、ネットで色々情報を検索したり、または私の工房で調整等を依頼したりするのです。

 特に、弓に関しては修理や調整でどうこうなる物ではありません。また楽器に関しても、私がいくらお金をかけて本気で調整したとしても根本的な性能は変えることが出来ません。構造的限界があるのです。

 この様な私の説明で、最初は買い換えなんて全く考えていなかったお客様が、私のお勧めする弓を購入されて、私の「弓の理論の正しさと、演奏の変化」に納得してくださって、それで私の事を信頼してくださる方が多いのです。

 私の事を全面的に信頼してくださった方は、その後、楽器を購入してくださる方も多いのです。

 そしてそのように購入してくださった方々から2年後くらいに返ってくる感想に、次の二つが多いのです。

○「購入当初は正直言って良さがよく判らなかったが、今は楽器の”ダイナミックレンジ”というものが理解できて、それを利用して表現するという意味が理解できた。」

○「弾いていて自分ではよく分からないが、周りの人から良い音だと言われる。」

 ようするに、購入時には本当の楽器の意味は見えないものなのです。なぜなら、良い楽器(弓)とはその時の自分自身の価値観の外にあるからです。

 それでは自分自身の価値観の外にある、本当の性能の良い楽器や弓をどうやって選んで購入するのかというと、自分では選ばないという事なのです。

 最近の風潮(インターネット検索&高学歴&自己中)で、自分で何でも解決しようとする人がとても多いのです。人に頭を下げてまでして物事を尋ねるのが、自分のプライドが許さないのかもしれません。

 しかし言い切ります。本当に凄い人って、素直に人に尋ねる事ができる人です。ずる賢くないのです。

 良い楽器や弓は、まずはそういう人と人の会話から、縁を引き寄せるのです。もっと具体的に言えば、紹介してもらうのです。

 これ以上は、余計なお節介になりますので言いません。しかし本当の「縁」を求めている方は、素直さと礼儀さをもって、私のところに相談しに来てください。私は押し売りはしませんから。

 

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