楽器の調整とかで私の工房に初めていらしたお客様の弓は、かなりの確率でペコペコな弱い、性能の低い弓の方が多いのです(特にヴァイオリンのお客様)。意外に思われるかも知れませんが、その傾向は上級者、プロの演奏者の方が強いです。

 ただ、それは珍しくはないので、驚くことでもありません。

 ところが、中には「つい最近その弓を購入したばかり」って方もけっこう多いのです。それも、そこそこの高い価格の弓を。

 それで私が、「なぜ、購入前に私の所へ来て弓の性能の理論の説明を訊きに来なかったのですか?買う買わないは別として」、と残念がると、大体はこう言うのです。

「いやあ、その時には佐々木さんの事は知らなかったのです」・・って。

 嘘つけって。私はこれまでずっと、それもインターネット初期の頃から、弓の性能の事も説明、忠告しています。ちょっとでもインターネット検索したら、または弦楽器の書籍を物色していたら、どこかで私の書いた事にも接触しているはずなのです。

 しかし、それに対して信用に値すると、思わなかっただけなのです。

 そんなに私の主張している内容って、信用できないでしょうか・・・。弓の試奏にいらして、その説明を訊いた殆どの方は驚かれると言うのに。

 

 蛇足になりますが、何に驚かれるのかという事を記載します。
・「弓の性能って、そういう事だったのですね。」
・「自分(の楽器)って、こういう音が出せるのですね。」
・「弓先まで使えるって、こういう仕組みだったのですね。」
・「表現って、こういう事だったのですね。」   ・・・・、等々

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