ここ一週間ヴィオラの全調整作業を行っていましたが、ほぼ完了しました。

 このお客差は半年くらい前にヴィオラ弓を購入してくださって、今回は楽器の全調整なのです。部分調整と違って、全調整とは弓の性能をも含めた(前提とした)総合的な調整になります。

 この辺りの仕組みを正確に理解できている演奏者や技術者はとても少ないと感じています。

「良い弓の性能を前提」とは、簡単に言ってしまえば、弓の圧力を利用した摩擦力が使えるか? という事です。

 例えばこのヴィオラの場合(ほとんど楽器も同じです)、これまでの弱い弓では圧力を原理的に掛けられないので(演奏技術とは別の物理の話です)、どうしても速いスピードでボウイングをするしかなく、楽器の響板を振動させられないのです。

 だから振動しやすい弦をはって、楽器が鳴ったように思い込んでいるのです。しかし実際には、弦の振幅は大きくても響板はドライブ出来ていません。

 さて、そこで性能の良い弓を前提として、弦の種類、魂柱の位置、部品の質量、肩当ての剛性などを調整することで、「一瞬、発音に抵抗感のある状態」にするのです。それが倍音に影響します。

 詳しい事は書けませんが、全調整をするためには、弓の性能が重要なのです。

 もちろん、音の調整の大前提となる「弾きやすさの調整=寸法的な調整」も重要であることは当然のことです。

 話が長くなりましたが、このヴィオラも激変しました。おそらくご自身のヴィオラを、そしてヴィオラという楽器の魅力を再評価してくださると確信しています。

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