これまでに何度も、「良い楽器や弓とは、自分の好みのものではなく、自分の価値観の外(自分の殻の外)の物なのです」、と説明してきました。

 これは極端に言ってしまえば、「自分では良い楽器や弓は選べないのです」と言っているようなものです。そうすると自分の演奏に自信がある人たちから反感を買い信用されません。

 私が商売人だったら、上記のような発言は絶対にしません。なぜならば、反感を買うのは想定内だからです。

 しかし、本物の技術を理論的に追求して、そしてその考えの基に良い弓や良い楽器をお勧めしているからこそ、「求める楽器は、現在の価値観の外(自分の殻の外)の物を」と主張しているのです。

 それは皆さんの演奏技術を否定しているわけでは無く、「せっかくの能力や努力が勿体ない」と言っているのです。

 演奏とは「理にかなった道具による、理にかなった運動」だからです。

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