私はこれまで何人かの弟子をとり、しっかりした職人教育を行ってきたと自負しています(弟子になって直ぐにやめたり、健康的な意味で残念ながらやめた人もいました)。
この「弟子」という教育方針を、相変わらず時代遅れの教育だと勘違い、または知らないのに見下して判断している人がとても多いのです。事実私自身も、否定まではされなくても、「今の時代にあっているの?」って言われたことがあるのです。
この仕事に興味のある若い方も、専門学校と弟子の違いに興味をもっている方も多いと思います。
一言で言えば、専門学校とは授業料を取って「一般的な事を軽く教える」方法です。教える内容も、教える先生の質も、教える期間も、良くも悪くもそこそこのレベルです。多人数同時授業(指導)が基本で、ある意味、商業主義の上で成り立っています。
一方、弟子教育の場合には、その師匠の考え方によって全く違ってきますが、「本格的」を基本としています。一対一の個人指導が基本です。また、基本的に利益が目的の弟子採用はないと思います。
例えばヴァイオリン製作の専門学校だったら、ヴァイオリンを作る授業をアピールすることでしょう。例えば「我が校で2年間勉強したら、ヴァイオリンが作れるようになります」などと。
しかし弟子の場合には、もっと本格的、本質的な教育を行います。例えば私の所の教育では、「良い道具を揃えること」、「それらの道具を高度に使いこなせる技術を習得すること」、「ヴァイオリン製作よりも難しく、さらに現実的な修理関係の技術を習得すること」、「将来工房を開業したときに必要な製作以外の実務技術を習得すること」等々を教えます。
ある意味、ヴァイオリン製作なんて、上記の基本技術を高度に修得できた人間にとっては、簡単にできるのです。
だからといって、専門学校での勉強が意味が無いといっているのではありません。
よく考えて、あちこち訪ねて自分で自分の進む道を選択してください。ネットで検索しているようでは、縁は生まれません。