弟子の林さんは「理解力」が良いので、私が教えたことをどんどん吸収しています。伊藤くんを教えていたときと同じような感覚です。
最近は、私の道具を真似させて自分用の道具を作らせているのですが、私の道具よりもより美しい物を作っています(超えることを使命として作らせています)。少しは悔しくもありますが、もちろん嬉しいものです。
職人教育で重要なのは「最初」です。「基礎」なのです。従って最初から焦って「ヴァイオリン製作」に走ってしまうと、所詮自己満足(自己陶酔)の薄っぺらな技術しか身につけることができません。じっくりと、時間とお金(良い道具をそろえるための)を掛けて、もちろん高度な指導の下で損得無しに教えてもらうことが理想なのです。これは専門学校や大企業では絶対に真似できないことです。
ヴァイオリン製作だけのはなしではありませんが、本当の技術を身につけたかったら、心から尊敬できる師匠のもとに断られても食い下がって弟子入りして、「全て」を学ぶことをお勧めします(ちなみに、私の工房は今は林さんがいるので、弟子を採るつもりはありませんのでご了承ください)。
それにしても、「物」を作るって仕事は楽しい!自分の作業した分だけ、自分が努力した分だけ、目に見える形でその成果を確認できますから。