最近、原材料としてのフェルナンブコ材が取引規制(制限)されて、希少性が増しているという情報がユーザー側にも浸透してきました。
そのため、「フェルナンブコの弓」という宣伝文句が過大評価というか、勘違いされていることに危機感をおぼえています。
フェルナンブコ材の弓というだけでしたら、比較的安い量産弓でも使われているのです。
逆に、高価な弓に使われているフェルナンブコ材が、特別な種類のフェルナンブコ材というわけでもありません。
フェルナンブコ材は外見からは判らない、微妙な剛性の差があります。簡単に言ってしまえば、当たり外れがあるのです。もちろん「当たり」は希少品です。
本当に性能の良い弓とは、「当たり弓」とも言って良いでしょう。難しいのは、有名製作者の最高グレードの弓が、「当たり材料」を使って作られた「当たり弓」というわけでもないのです。同じ最高グレードの弓で、性能差がかなりあります。
だからそんなバラツキのある弓を、客観的に、または冷静に判別する仕入れ能力こそが、最大の技術力と言えるのです。
良い弓が「感覚」だと言い張る演奏者や業者が多いのですが、「感覚」なんて自分でどうにでもごまかせます。
技術とは科学的(工学的)裏付けが必要なのです。弦楽器業界は「感覚」というオカルト的判断に毒されすぎています。
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