楽器の音質は、原理的には、ホコリが楽器のどこか(響板でなくても)にパラリと付着しただけで、音が変わります。これは振動体における、質量付加による振動抵抗(機械的インピーダンス)の増加として捉えることができます。
もちろん、ホコリ一つくらいでは、その変化は誤差の範囲内の変化量で無視できるでしょう。
だから、多くの楽器マニア系のユーザーが、自分で色々なパーツを交換しては、「音が良くなった!」とか、SNS上で無責任なレビューを書きまくっているのです。
しかし通常、楽器の音に変化を生じさせると、ある一側面の変化量に対して、別の側面の変化も生じます。簡単に言えば、ある部分を良くすると、別の部分でマイナスの面が生じてしまうものなのです。
一般的なユーザーは「主観的」です。だから自分の労力(時間的、金銭的)に対して音が変化すると、それを無意識の内に「向上」と捉えがちなのです。これは心理学的にもよく知られる行動パターンらしいです。例えば、登山で道に迷ったときに、自分の進んでいる道を「正しいはずだ」と思い込ませる心理が働くそうなのです。
このように人とは、自分の行動だとか感覚を「正しい」と思い込みがちなのです。これは一所懸命だからこそ起きる現象なのです。
一方我々技術者で重要なのは、「客観性」と「技術力(どれだけの世界が見えているか)」です。だから一般ユーザーとは違って、楽器に起きた音質変化を、冷静に判断しています。
例えば、プラスの変化量だけで無く、それと同時に生じているマイナスの変化量も見抜くことができます。なぜならば、他人事としてクールに対処しているからです。
さらに重要なのが、音質の変化量と、変化量のベクトル方向の積み合わせなのです。これを一般ユーザーが理解できるとは思えません。
だから私は、「専門家を頼りましょう」と勧めているのです。
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