私がドイツに渡った時の話ですが、私はカントゥーシャ氏の紹介でロスバッハさんという女性(おばあさん)の所で定期的にドイツ語を教えてもらったり、会話をしたり、ケーキをご馳走になったりしたのです。そのときの話です。
「アキラ、あなたは宗教を持っているの?」と訊かれたので、私は「無宗教です」と答えました。そうしたら、「あなたの頭の中は空っぽなの?人間は宗教心無しでは信念は生まれず、生きていけないはずだ」みたいなことを言うのです。私のつたないドイツ語理解力なので、この和訳と全く同じことを言われたわけではありませんが、おおよそそんな感じです。
それで日本の(私の)風習だとか、生活だとか、宗教観だとかの話になりました。「仏教徒というわけでも無いが、確かに生活のあちこちに仏教の考えも入っている。神道でも無いが、それも生活のあちこちに入っている。私が通った幼稚園はキリスト教幼稚園だったし、クリスマスだって・・。お月見をしたり、あれも日本古来の宗教と言えるかも・・。さらに私なりの悶々とした個人的な宗教心(道徳心)だって有ります。」
そう言われてみたら、私の頭の中は決して「無宗教」ではないのです。
ロスバッハさんは言いました。「アキラ、ドイツで『宗教は?』って訊かれたらこう答えなさい。『私は宗教を持っているけれど、マイナーな宗教なのであなたはそれを知らないです』と。決して『無宗教です』と答えてはいけませんよ、バカだと思われるから。」
以来、「宗教は?」と訊かれたときには、即座に「はい、持っています」と答えています。日本でそういう会話になったことはありませんが、外国ではひょんなことからそういう会話が飛び出します。しかし、それ以上の突っ込んだ話にもなりません。