楽器や弓の購入の時、それどころか人との縁などの全てにおいて言えると思うのですが、慎重になって考えれば考えるほど、迷えば迷うほど、意外にも本質を取り違えたり、縁を取り逃がしてしまい、結果的に勘違いの変な物を手にしてしまうことが多いものなのです。

 私の工房でとても高価な楽器を購入された方も、きちんとした信頼関係があってという前提ではありますが、そんなに試奏に時間はかけません。たった5分~10分ほどだけ弾いて、音が気に入れば、「佐々木さんを信頼していますから」と言われて、購入を決断される方が多いのです。

 逆に、とても時間をかけて迷って弾く方は、結局きめきれずに、もう10年間も相変わらず迷い続けている方もいますし、他店で??ってのを買ってきちゃったりした方もいらっしゃります。

 人を信用できずに自分の感覚や価値観だけを頼りに選んでしまうと、結局はそれまで使っていた楽器と大して違わない楽器しか選べないものなのです。だから、本当に重要なときには、自分を信じるのではなく、「信じられる人、頼れる人」がいるかどうかが一番のポイントとなり、そしてそれこそがその人の能力とも言えるのです。

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