楽器の古典的振動モデルは、弦の振動と駒の伝達だけを考えた単純なものでした。しかし近現代では楽器全体を振動体として考える事が当たり前になっています。事実、楽器の末端にいたる全ての箇所が振動していることは、周知の事実です。
このような振動体を考えた場合には、振動の端の機械的抵抗(機械インピーダンス)に変化を与えることが、メインの振動に変化をあたるきっかけとなるのです。これは単純な振動モデルの振動端の抵抗(すなわち反射)と振動の変化からも想像できることです。
なにも物理学素人の私が、学問的なことを言うつもりはありません。弦楽器技術者として、楽器の振動の全体像を理解、把握して、そしてその機械インピーダンスの変化を効率的に与えることが、楽器の音調整の重要な要素の一つなのです。そのためには結果オーライに満足していてはいけないと思うのです。
常に疑問を持ち続けなければ。