オケの音を聴いていると、「弦楽器の音色って、複雑で素敵だなあ」と聞き惚れてしまいます。
管楽器などの他の楽器の音は単調なのです。良く言えば澄んでいます。しかし悪くいえば単調です。その点、弦楽器の音は複雑です。
こう言うと他の楽器の方からクレームが来るかもしれませが、それにはちゃんとした理由があります。弦楽器の発音構造の複雑さがその音色の複雑さを生んでいるのです。
管楽器は、基本的には「発音(リードや唇)」と「気柱の振動維持」の二つから音色が出ます。簡単に言ってしまうと、音が連続的なのです。
これに対して、弦楽器の場合には「発音(弓と弦との摩擦)」と「ボウイングによる振動維持」によって音が発せられるのですが、実は弦楽器の発音とは、瞬間的な打撃音(ピッキング操作)を繰り返す操作なのです。だから連続音のような、打撃音のような複雑な音がするのです。
さらに楽器の構造も違います。管楽器の場合には、楽器の筐体は原理的には大きくは音には影響しません。しかし弦楽器の場合には、筐体の振動こそが音を作るのです。だから「弦そのものの振動」、「響板の振動」、「共鳴箱としての振動」など、複雑な音が出るのです。振動している素材だって、金属から木材まで複雑な特性を持っています。
このように、弦楽器関係者の贔屓目の立場から、弦楽器の音を分析すると、とても「複雑な要因を含んだ音」と言えるのです。これは逆の事も言えて、「下手な人が弾くと濁った音」とも言えるわけです。
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