先日、音叉の振動をハイスピード撮影した動画を公開しました。
中には、「何?これがどうした?」と思われた方も多いと思います。ところが、この音叉の振動のハイスピード撮影は、とても基本的な要素が含まれているのです。ある意味、ハイスピード撮影における基本撮影です。
例えば、私が以前公開した動画の中には、ヴァイオリンの弦が派手に震えている動画があります。私以外にも、似たような動画を公開している人もいます。
ところが、その手の動画が、本当の意味でのハイスピード撮影されているか、けっこうあやふやなのです。弦の振動が連続的に映っていないので、雰囲気だけのハイスピード撮影になっている事が多いのです。ネット上に公開されている弦のハイスピード撮影映像の中には、嘘の「弦の振動」のハイスピード撮影(?)動画もあります。それはCMOS撮像素子の動体歪みが、まるで弦の振動の様に見える「偽」ハイスピード撮影です。
話しを戻して、音叉のハイスピード撮影を考えてみましょう。音叉の振動は440(判りやすくするために、442Hzではなく440Hzで説明します)Hzです。すなわち、440fps(440フレーム/秒)の撮影をしても(通常の動画は30~60fpsです)、音叉の動きは見えないのです。
それでは、その2倍の880fpsで撮影したら、音叉の動きは見えるかというと、これも連続的な動きには見えません。最低でも3倍くらいのフレームレートで撮影しなければ、連続的な動きを表現できないのです。すなわち、1,320fps以上くらいです。
最近では民生用のビデオカメラでも、それどころかデジタルカメラ(スマートフォンでも)でも一昔前なら考えられないくらいの高性能なハイスピード撮影が出来るようになってきました。しかしそれでも、せいぜい720~1,200fpsくらいの撮影が限界です。
すなわち、単なる音叉の振動をハイスピード撮影するだけでも、けっこう本格的な専用のハイスピードカメラを必要とするのです。もちろん、だからといって研究室やNHKが使っているような、超高価格帯のハイスピードカメラの使用などは予算的に夢物語です。私のような個人での研究は、何を行うのも予算的にきついのです。そのギリギリでの試行錯誤です。