少し前に、学生時代にPCMプロセッサーで録音した貴重な録音データをダピングして、デジタル化(PCMデータもデジタルではあるますが)したという話しを書きました。

 この音質といったら、30年以上前の録音とは思えないほどの素晴らしさです。

 ところが実際にダビング作業を行ってみると、とても大変な作業でした。それは当時のPCMプロセッサーの特徴として、エラー補正があまりなされていないため、再生する度に微妙に「プツッ」という再生エラーの現れる場所が違う事があるのです。

 もう25年前にもPCMプロセッサーからDATレコーダへとダビングを行った事があるのですが、この時にも音を聴きながらダビング作業を行って、再生エラーを確認したら、もう一度最初から巻き戻してダビングをやり直したり、作業後半でエラーが起きてしまった場合には楽章間の切りの良いところまで巻き戻して、ダビングし直したりしました。気がおかしくなるくらい退屈で大変な作業でした。

 今回も基本的には音を聴きながらダビングするのですが、時代が進んで、当時と違って今はパソコンで波形処理が可能になりました。

 方法としては、とりあえずPCMプロセッサーのデータを連続してパソコンにダビングするのです。もちろんエラー箇所も含まれています。それを2回、場合によっては3回繰り返します。

  次は、再生エラーの箇所を探し出します。便利になったのは、波形処理ソフトの検索機能で「不連続」とか「無音」とかでエラー箇所を探す事が出来るようになった事です。

 エラー箇所を見つけ出したら、もう一つのダビングデータと比較します。そして、そちらのダビングデータにおいて運良くエラー無しで再生できていたら、その部分をコピーして貼り付けるのです。昔と比べたら、何て便利になった事でしょう! もっとも、テープの状態が悪くて(ドロップアウト)起きてしまっているエラー箇所は、どのダピングデータでも同じように起きていますので、そればかりは諦めなくてはなりません(それでも3ダビングデータの内、1つくらいは僅かにエラー箇所がましだったりする事もありますから、そのような場合にはそこを採用します)。

 さて、再生エラー部分のパッチ処理が終わったら、今度は再生してパッチ処理したつなぎ目に違和感が無いか、何度も繰り返し再生してチェックします。多くの場合、つなぎ目で僅かに「プチッ」というノイズが出ます。そこで、波形処理で波形をグイグイ拡大してチェックすると、つなぎ目がほんの僅かだけ不連続になっているのです(これも検索機能の「不連続」という機能を活用して見つけ出します)。波形を見ただけだと、そこからノイズが出るとは思えないような、わずかな不連続です。
  その不連続部分だけを範囲指定して、「連続処理」を行うとほんの僅かだけ波形の接続部分の点の位置が変化して、あーら不思議プチッという音が消えます。不思議です。

 こんな作業を何度か行って、PCMプロセッサーのデータをパソコンのWAVデータに変換できました。以前と比べたら楽になりましたが、それでも結構大変な作業でした。

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