私は楽器に限らず、常々、「安物を買っては結局損をする。良いものは最初は高いと感じるけれど、結局は得をする」と説明します。

 ほとんどの人は、「最初は安い製品(量産品とか手工品とかいう単純な意味ではありません)で様子を見て、楽器の善し悪しが判るようになってから良いものを購入する」、と考えています。

 ところが、安い製品(安かろう悪かろうという)から教えてもらえる事はとても少ないのです。だから、所有者は、その製品の性能の価値観だけの中だけで活動して、大して不満さえも覚えないのです。

 端的に言ってしまうならば、安物(性能が低いもの)でも、ちゃんと調整さえすれば、そこそこの性能で弾けます(使えます)。だから、大きな不満が出ないで、そのまま時間だけが過ぎていきます。ある意味、低いレベルで小さな満足感に浸ってしまえるのです。

 道具に導かれなければ、成長できません。新たな価値観や世界観に気づかないのです。

 その点、思い切って良い道具を購入した人は、新たな価値観、世界観だとか、自分の道標を示してくれるその道具に対して、「あの時思い切って購入して良かった」と、使う度に、思うことでしょう。

 これは私のセールストークなんかではありません。私自身の感想であり、または、私がたくさんのお客様から頂く感想でもあります。

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