以前から私は「演奏家の言う事を全面的に信頼してはいけない」と主張しています。なぜなら、彼等(彼女ら)は、演奏のプロではあっても、楽器や弓に関しては素人だからです。正確に言えば、専門的な教育をうけていないからなのです。
だから演奏の才能があっても、道具の使い方、その意味を勘違いしている人だらけなのです。
こう主張すると、この業界(プロからも、アマチュアからも、同業者からも)あちこちから反感を買います。しかし、私が主張しなくて、誰が説明できるというのでしょうか? ・・・という覚悟で、毎回書いています。
先日、ある番組で巨匠達の演奏シーンが流れていました。ところが弓をパンパンにはって、ボウイングが跳ねまくっていました。もう一人の巨匠は、楽器の表面をスラスラ撫でるような演奏でした。
おそらく、弓の性能が低いのでしょう。
おそらくファンは、その弓が跳ねまくっている演奏を、その演奏者達のキャラクターだと勘違いしていることでしょう。そして、そういう演奏に憧れをもって、自分も練習している人も多いのだと思います。
このように、巨匠クラスであっても、勘違いしている人だらけなのです。
スポーツ界に当てはめてみてください。
例えば、野球で例えたら、ベーブルースだとかルーゲーリックだとか、昔のスーパースター達がいます。しかし彼等のプレーだとか運動が現代でも全てそのまま通じるかというと、そうではないのです。
なぜなら、運動理論は常に進化しているからです。研究されているからです。
もちろん、だからといって当時のスパースターの程度が低かったとかそういう話には繋がりません。なぜならば時代が違うからです。
このように、スポーツ界は常に研究、そして進化が続いているのです。
それに対して、弦楽器界ではそうではないのです。そういう分野が存在しなかったり、芸術という胡散臭い言葉を隠れ蓑に科学を拒絶する人もたくさんいるのです。
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