ヴァイオリン製作だけでなく、職人や技術を習得する方法として「修業」とか「勉強」があります。これら2つには明確な違いは無いのかもしれませんが、一般的に「修業」とは親方とか師匠の元に付きっきりで技術を学ぶ方式です。一方、「勉強」とは、専門学校とかのあるシステム下において、学ぶ方式です。自己流という勉強方式もあります。だからその先生も複数だったり、場合によっては居ない場合もあります。
どちらの方式が優れているとか、そういう事はないのでしょう。しかし、私の中では、「修業」こそが技術を高めるための最善の方式だと考えています。
あくまでも私の個人的な「修業」という概念ですが、「修業」=「親方の行為、考え方」への尊敬、尊重なのです。すなわち、自分の考えを封印して、親方の考え方を自分に植え付ける行為です。
これはいわゆる学校での「勉強」では出来ません。「出来ない」と言ってもよいほど、「自己保護本能」は強いものだからです。だから上っ面だけの技術理論だけを、頭で習いがちなのです。
最近この「修業」という方式がどんどん少なくなってきています。なぜなら、「弟子を採る」という行為は、自分の子どもを育てるのと同じくらい責任を負い、そしてお金も掛かることだからです。損得勘定を考えがちのこのご時世に、そんな奇特な人も少なくなって当然なのです。
貴乃花部屋を閉めるにあたって、さぞ貴乃花親方も、その弟子達も無念だったろうと、ちょっと考えてしまいました。
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