私が、「パッと見ただけで、大体の楽器の良し悪しは判るものですよ」というと、逆に、

「凄いですねえ。どこを見て、楽器の良し悪しが判るのですか?」と質問されます。

「どこを見て?」と言われても、「全て」としか言いようがないのです。

 例えば、将棋のプロにとって、盤面を覚えること自体、それほど大したことではないようです。しかし、我々将棋の素人にとっては、神業のように感じるのです。

 おそらく、盤面の画像情報、パターン情報、定石情報などを複合的に組み合わせて、無意識に記憶しているのでしょう。それは能力というよりは、技術力です。

 我々も全く同じです。部分的な細かな技術情報を、無意識の内に組み合わせて、楽器を見ているのだと思います。だから「どの部分?」と言われても、「それぞれ各所全てを、無意識の内に」としか言いようがありません。

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