昨日ある番組で宮大工の話をしていて、その中で「職人の数が急激に減っている」という危機感の話題になりました。そして次のシーンで、千葉大学のある研究室の紹介映像となったのです。
その研究室では、将来の職人不足になったときに備えて、自動作業ロボットの研究をしているらしいのです。そのロボットが、笑ってしまうくらいの大きなアーム型のロボット。自動車工場に設置されている溶接ロボットと同じ感じなのです。そのロボットの先端に、丸ノコが付いていて、それが切ったり、削ったりするそうです。
この教授、本当の現場と職人の技術力を勉強して、それでこんな大型ロボットを開発しているのでしょうか?ちょっと、ギャグだと思ったくらいピンボケです。
大工の仕事は、工場での大量生産とは異なり、一番重要なのは「臨機応変」という考え方です。加工する材質の種類も、材質の特性も、目的の寸法も、数も、加工する作業場所も、求めるスピードも、修正能力も、常に時と場合によって様々です。「現場の状況に合わせて、臨機応変に」なのです。精密な設計図さえ無いことも多いです。大型ロボットでは、それが不可能なのです。
それでは、来たるべき職人不足のために、何をすべきか?
簡単です。そんなロボットを開発するのではなく、千葉大学に「職人学部」を創設して、毎年10~20人の優秀な職人を輩出していけば良いのです。この方がよほど役に立ちますし、現実的です。ちなみに、「職人大学」とかの新規の大学を創設してはダメです(そんなの天下り役人の巣にしかなりません)。有名大学にあってこそ、入学希望者が増えるのですから(それが日本です)。
大学として様々な試みを行っている千葉大学なら、それが出来るのではないでしょうか?
なぜこんな事を書いたのかというと、将来の職人人材不足が、ロボットなどで代用されると思い込んで楽観視している人(または現実逃避している人)が多いと感じるからです。この危機的状況を、切実な問題として考えなければなりません。「海外からの安い労働力」とか、そんな薄っぺらい話題ではありません。もっと、根本的な問題としてです。
将来、いや、未来に弁護士(裁判官?)がロボット(人工知能)に置き換わる可能性はあっても、職人(技術職)がロボットに置き換わることはありません。
補足:工場用のロボットの研究ならば、話は別です。大工職人用の大型ロボットはナンセンスと言っているのです。
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